Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.082 Zeichen · 257 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「あ、この人ですよ、此間お勝手口まで来て、逃げてしまったのは」

と平次の後ろから囁くのでした。

「よし/\解って居る、お前は彼方へ行け、女が来ると話がとんがらかる」

「――」

お静は自分のはしたない態度にハッと気が付いた様子で、逃げるように隣の部屋に姿を隠してしまいました。

四

「お夏さん、佐渡屋へ乗込んで行って、次第に寄ってはお前を助けてやらないものでも無いが、その前に一つ、この間此処のお勝手口を覗いて、逃げて行ったのはどういうわけか、それを聴かしてくれないか」

「――」

お夏は顔を挙げました。根のゆるんだ髪が首筋に冠さって、鬢のほつれが、白い頬を悩ましくなぶるのです。

「それを、お前に訊くと――私は行った覚えは無いと言った筈だ」

「済みません、親分、私は怖かったんです」

「怖いだけか」

「え、――私は二人の人が、相談して居るのを聴きました、納戸の側の暗がりで、佐渡屋の血筋を絶やさなきゃ、腹の虫が癒えないと――言った恐ろしい話を」

「誰がそんな事を言ったのだ」

「誰が言ったか、少しもわかりません」

「男か、女か」

「それも解らなかったんです、――顔だけでも見て置けばいいのを、私はあんまり怖くなって、逃げてしまいました、万一見付けられでもしたら、私が第一番に殺されるような気がしたんです」