Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
飢えの行列
市十郎も、群れに交じって、白い温い粥を、ふウふウいってすすった。その美味さに、またも、涙がこぼれた。舌の味覚などというものではない。溶かした生命そのものを空虚な肉体へ充たしている感じだった。たちまち内に充溢してくる生命力が茶碗を置かないうちにありあり分った。
「……そうだ」
箸と茶碗をもどすと、彼は、たれに命じられたのでもなく、勃然と、思い立って、そこに落ちていた空俵の縄を拾った。
同苦坊や、ほかの世話人たちがしているように、彼もそれに倣って、縄襷をかけ、施粥の手伝いをし初めた。
誰も、咎めもしない代りに、礼もいわない。市十郎は、汗になるほど、働き廻った。
飢えの行列
大施粥は、午までに、予定の米俵の数を、みんな空にして、終った。
終ると、ゆうべの人々も、みな何処ともなく立ち去った。
ただ一人、市十郎だけは残って、同苦坊と共に、手伝っていた。
「……?」
同苦坊は、チラと、彼の顔を、注意して見た気ぶりもあったが、べつに何も訊ねもしなければ、御苦労と一言いうのでもなかった。
どこからか借りている貸車に、同苦坊は、大釜を積んだ。市十郎も、手を貸した。
「さて。