Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
今だからいうが、捕まえる方の俺たちまで、一緒になってやったんだからな。あはははは」
「そして、どうなったんだろ。しまいには」
「とうとう、お上も手をやいてしまい、高札の文言を改めたのさ。――それまでの御高札には、第一条に、忠孝文武ヲ相励ムベキコト――とあったのを、今のように、親子兄弟、相睦ミ、各奉公ニ、精出スコト……と書き直して、御高札が、頬冠りしてしまったわけだ」
「ヘエ。どこかへ、忠孝を仕舞いこんでしまったわけだね。もっとも、お犬様をお駕籠にのせて歩いた人間どもには要らねえ文句だが」
「その元禄の世も、宝永、正徳と変って、ことしは享保三年だが、人間の悪さは、ちッとも、変って来ねえ気がするんだ。……こうなってみると、やっぱり、お犬様以下という値段が、人間の本当だったかもしれねえな」
立ちしびれて来ると、二人は地にしゃがみこみ、そっと、なた豆煙管をとり出して、煙草をつけ初めた。
木戸触れ中の煙草は、見つかると厳罰の定めだが、こんな規律も今は紊れ、かれらは、ふところ煙草と称して、まったく火の光を見せずに吸う習熟をもっていた。
「大きな声じゃいえないが、こんな物騒や、暮し難さがつづくと、今にまた、由井正雪みてえなのが出るんじゃないかという者もある」