Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

「あいにくまた、その日が、将軍家の御生母様が、護国寺へ仏参の日にもあたり、燕を黒焼にし、子に服ませたなど、極罪なりと、要人夫婦は、断罪に処せられ、家名は取潰し、縁類も離散。お袖は、それから人手に育てられ、子守奉公やら辻占売りなどもして、その果てに、水茶屋の茶汲み女に売られたものにございます」

「…………」

「十六の春ともなれば、夜も客をとらねばならぬことは、水茶屋渡世の通例ですが、その頃、大岡亀次郎と、同苗市十郎と申す従兄同士の遊び客が折々見えるうち、お袖は、その市十郎と、恋仲におち、いつしか、市十郎の胤を宿していたものにございまする。――やがて、ふたりの仲に生れたのが、お燕です」

無心に語ろうとし、無心に書きとめようとしても、かれらの筆はみだれ、語音には、切なげな、いかにも、辛そうな乱れが、かすれる――

ひとり越前守は、ひと事みたいに、それをうけ取っていた。

「うム、お燕という、世間にすくない名は、さては、そうしたお袖の生い立ちから、由縁をとって、名づけたものとみえる。それのみは、初めて知った。――いや、お袖の素姓も、武家出とは、聞いていたが、そうした身の上とは、知らなかった。