Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

熱がたかい」

笑いながら、楽翁は出て来た。そして、薬を取りに来いと告げて、牢番頭を伴って、役宅の一間へもどった。

調剤を渡し、手をそそぎ、

「お奉行は」

と、義平太に、たずねた。

「奥で、お待ちしておられます」

「ちょうど、近日、お目にかかりたいと思っていたところ。折入って、暫時、お会いいただけるかと、お伺い申してくれい」

やがて、さしつかえないとの返辞が来、こんどは、小林勘蔵が、案内に来た。

従いてゆくと、越前守の私室。それは、かれが時折、ただひとり、忙中の閑をぬすんで、黙想にこもる奥まった小部屋であった。

「用があったら呼ぶ。みな、休息して、与力部屋へ、退がっておってくれい」

越前守も、こよいは、かれと自分とだけで対坐して、何か、はなしたい一宿題をもっているようなふうだった。

「さ。楽翁どの。くつろごう」

「終日。おつかれでおわそう。くつろがせていただきます」

敷物をとり、それに、ぺたと膝をのせて、楽翁は、小さい床の間へ眼をやった。

慈眼視衆生    同苦和尚之語

と、細軸の一行書が懸かっている。

「ほ。どなたの書で」

「おはずかしい。自分の手習いです」

「同苦和尚とは」