Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
おい、ちょっと、顔をかしてくれんか。晩くなってからすまぬが」
左右太とお次の仲は、雇いの小女まで知っている。かれは家人に気がさすらしいのである。
やっと、家のうちに、返辞があった。戸のあいだから、お次の白い顔。――愛人の顔は、書物のようにすぐ読めるものだ。左右太は、かの女の眉が、いつになく冴えないのがすぐ見えた。
「急に、訊きたいことが出来てな……。いいか、入っても」
「あの……左右太さま。今夜は……」
「たれか、奥に、客でもいるのか」
「いえ。……お客っていうわけでもないんですが」
「都合がわるければ、外で、立ち話でもいい。ちょっと、抜けられないか」
「待ってくださる?」
「うん。どこにいよう」
「いつもの、船小屋は」
「じゃあ、そこにおるぞ」
左右太は、先に、遠くもない河岸ぷちの――堤をうしろにした、ほッ建て小屋のそばへ行っていた。まもなく、お次もあとから来た。堤の蔭だし、前は川なので、落着くのだった。
「なんです。急なお話って」
「だしぬけに、妙なことを訊くが、店が閉まってから、今夜は、たれか客がいただろう」
「え……。夕方、楽翁さまを乗せて来た駕籠の衆に、店はもう閉めたんですが、断れずに、商いをしていましたが」