Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「お母あ様。お父さまは、もう、どこへも行かないんでしょう」
「ええ、そうして、二人を、抱いていて下さるではありませんか。……それよりも、お母あ様が、お台所へ行けませんから、お勝手の者たちに、たくさんに、お父様へおいしい物をさしあげるように。そして、あなた方も、お父様のお部屋を、おきれいにしてお置きなさい」
「はい」
と、二人は、争って、廊下へ走った。
「あれ、あの、うれしげな跫音……」
「不びんなのは、子達であるわよ」
「あなた様のお心も、縫は、お察し申しあげておりまする」
「そなたを信じて、いっておく。越前にも、最後の日が来た。明朝は、別れになるぞよ」
「長い……お別れでございましょうか」
「おそらくは。……縫、そちこそ、かなしい一生を送らせたの。あらためて、わしはそちに、手をついて、詫びるぞよ。ゆるしてくれい」
「め、めっそうもございませぬ。縫こそ……ああ縫こそ、お詫びせねばなりません。――おもえば、私が、悪うござりました」
「そなたが、わしに、わび入ることはない。そなたは何も知らぬ家つきの息女であった」
「……でも、私のまえに、お袖さまという女子に、あなたの生した幼な子のあったことも、私は知っておりました。