Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
……左右太との縁によって、遺骸の始末はわし達がしてとらせた。そのあとで、舟莚の下から遺書が出た。お島の遺書じゃ、見てやんなさい」
泣きぬれている沢山な眼の中に彼は置かれている。鉄淵はそんなことは問題でないらしい。法衣の袂から一片の巻紙を取出して手渡した。風に解れると、女文字が手からこぼれる。
――紙の白さは、遠い遠い雪の夜を越前守に思い出させた。冬の夜の美しい女スリの肌のぬくみや友禅の夜具の檻に、いかにあの頃の、血を荒しもだえたことか。良心と麻痺との境に悩んだことか。
赤穂浪士の列が、雪解の道を、真ッすぐに西へ向って引揚げてゆく朝。――屋根づたいに、魔の窓を脱け出て這った自分のすがたが、昨日の事のようにも、心の底に泛かんでくる。
お島の手紙はたどたどしい。が、大意はこんな意味だった。
――死にます。死ぬしかない女です。自分でも、いとしく惜しくもありません。やりたい事はやりつくした女です。
お次は、私とは、義理の仲だったことが分りました。私のほんとの妹は、お袖というものです。お驚きでしょう。
いたずら女のかりそめ事も、思えば怖ろしい、世の中の真実や、真面目な人たちの運命にも、つながっていました。