Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「さあ、下へ落ちないうちに」

中空高く上った扇子が、トンボのように舞って落ちて来ると、それは早くもムクの大きな口の中に啣えられました。

「上手上手、まだお前、いろいろの芸当が出来るんだね、間の山にいた時から、わたしが仕込んだ上に、両国へ来てから、みんなに仕込まれたのだから、ずいぶんお前は芸の数を知ってるでしょう、忘れないでおいで。一旦覚えたものを忘れるようなお前じゃないけれど、それでも、お浚いをしないと、人間だって忘れることが多いんだから無理もないわ」

お君はムク犬の口から、扇子を外して頭を撫でてやりましたが、

「忘れるといえば、わたし、三味線の手を忘れてしまやしないか知ら。間の山節は、わたしよりほかに歌える人はないんだから、あれをわたしが忘れてしまうと、あとを継ぐ人がない、それではお母さんに済まない」

お君はこう言ってその扇子を取り直すと、撥のつもりに取りなして、左の手で三味線を抱えるこなしをして、口三味線でうたいはじめ、

「大丈夫、わたしは決して忘れやしない」

淋しく笑って、池のほとりへ出ました。

「ムクや」

左へ廻って附いているムク犬を、慌しく右の方から尋ねて、