Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

ムクが近寄ると、竜之助がその手を伸べて頭のあたりを探って撫でてやると、ムクは、ちゃんと両足を揃えて、竜之助の傍へ跪きました。

竜之助は何か言って犬の頭へ手を置いて、犬と一緒に仲よく日向ぼっこをしている体です。

これは米友にとっては、非常なる驚異でありました。ムクは、そうやすやすと一面識の人に懐くような犬ではない。彼は善人を敵視しない代りに、悪意を持った者に対しては、ほとんど神秘的の直覚力を持った犬であります。まあ、伊勢から始まって、この江戸へ来ての今日、ムクがほんとうに懐いている人は、お君と、おいらと、それからお松さん――その三人ぐらいのものだと思っている。しかるに、いま自分の傍を離れて、かえって、見も知りもせぬ、あの奇怪極まる盲者の傍へ神妙に侍っているムクの心が知れない。

米友は何か知らん、胸騒ぎがしました。じっとしていられないほどに惑わしくなりました。声を立ててムクを呼び立ててみようとして、身を屈めて、手頃の小石を拾い取るや、右の手をブン廻すと、小石は風を切って庭の中に飛んで行きました。

「誰だ、いたずらをするのは」

「おいらだ、おいらだ」

米友は百日紅の枝を伝って、塀を乗り越してやって来ました。