Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

先生は薬研を眼よりも高く差し上げて、鰡八大尽の使者を睨みつけたところは、かなり凄いものでありました。

「私共は、お隣の鰡八大尽の邸から上りました……」

「鰡八がどうした、その鰡八がどうしたと言うんだ」

「鰡八の御前が急に御大病におなりなさいましたから、先生に診ていただきたいと思って上りました」

「それからどうした」

「もともと鰡八の御前は、滅多なお医者様にはおかかりにならないお方でございます、立派なお医者様をお抱え同様にしてあるのでございますが、なにぶん今晩のところは、急の御病気だものでございますから、よんどころなく先生のところへ上ったわけなのでございます」

「そうか、よんどころなく俺のところへ頼みに来たのか、よく来てくれた」

「何が御縁になるか知れたものではございません、これからこちらの先生も、大尽へお出入りが叶うようになるかも知れません、もしこれが御縁で大尽のお気に入りにでもなって、お出入りが叶うようになりますれば、使に立った私共までが面目でございます」

「この馬鹿野郎!」

道庵先生はこの時に、眼より高く差し上げていた薬研を、力を極めて玄関先へ投げつけました、薬研は凄じい音をして、鰡八大尽の使者の足許へ落ちました。