Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
「冗談じゃねえ」
頭と頭とを、こっきらことするほどに密着けて、百蔵が、
「役人の会所になっているというから、様子を見ていりゃあ、役人らしいのは一人も泊っていねえじゃねえか、それに普請のお金方とやらも詰めている塩梅はねえし、ふりの宿屋と別に変った事はねえ、なにも俺らと兄貴が、こうして息を詰めて仕事にかかるがものはねえんだ、兄貴にしちゃあ、近頃の眼違いだ、お気の毒のようなものだ」
少しばかり、せせら笑ってかかると、七兵衛はそれを気にかけないで、
「それに違えねえ。おれも様子を見てから、こりゃ抜かったと直ぐに気がついたから、引上げようと思ってると、手前が何に当りをつけたか、奥の方へグングンと入り込んで出て来ねえから、引返すわけにもいかなかったのだ。こりゃあ強ち俺の眼違えというわけでもねえのだ、この間までは確かにここが会所になっていたのだが、普請が出来上ったから、あっちへ移ったのだろう、あんまり遠いところでもねえから、ひとつこの足でその新しい普請場の方へ出かけてみよう」
「なるほど」
「さあ出かけよう」
この二人は、板橋街道で打合せた通り、王子の扇屋を覘ったものであったに違いないが、その見込みが少しく外れたものであるらしい。