Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
周到な用心と警戒の下に、鎖を外しにかかりました。
この前後の間におけるムク犬の身体には、更に隙がありませんでした。四つの足は合掌枠のように剛く突っ張って、その眼は間断なく犬殺しどもの挙動を見廻して、その口からようやく唸りを立てはじめていました。痩せた身体がブルブルと身震いをはじめました。
広間と縁側とで見物していた武士の連中は、固唾を呑みはじめました。犬殺しは、日頃の技倆を手際よく見せようという心であります。武士たちは、前代にもあまり例の少ない生きたものの皮剥ぎを、興味を以て見物しようというのであります。ほいと非人の階級は、頼まれれば生きた人間の磔刑をさえ請負うのであるから、犬なんぞは朝飯前のものであります。また武士たちとても、同じ人間を斬捨てることを商売にしていた時代もあるのだから、たかが生きた犬の皮剥ぎを実地に御覧になるということも、そんなに良心には牴触しないで、かえって残忍性の快楽をそそるくらいのものでありました。
もし、犬の代りに生きた人間を使用することができたならば、ここに集まる武士たちのうちの幾人かは、もっと痛快味を刺戟されたかも知れません。