Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
けれどもその棒はムク犬の急所に当ることがなく、滅多打ちにのぼせている長太の咽喉の横から、ガブリとムク犬がその巨口を一つ当てましたから、
「呀!」
長太は棒を投げ出して仰向けに倒れる時に、ムク犬は、倒れた長太の身体を乗り越えて前へ出ました。縄にすがっていた長吉は、手球のようにそれについて引摺られる。
「長太、どうした」
「長吉、放すな」
長太はいよいよ血迷って、噛まれて倒れながらムク犬の身体を抱きました。長吉が引摺られながらも縄を放さないで苦しがっているのも、長太が半死半生になりつつも、このさい猛犬の身体に噛りつこうとするのも、もう周章狼狽の極でありますけれど、一つには彼等はこうして身を以てしても、猛犬を引留めなければならないのであります。
自分たちの手抜かりから猛獣の絆を絶ってしまったことは、申しわけのない失敗だけれど、それよりもこの死物狂いの猛犬が、あのお歴々のおいでになるところへ飛び込みでもしようものならば、なんともかとも言い難き椿事を引起すのであります。
だから彼等としても、周章狼狽の極にありながら、身が粉になるまでも、その責任に当らねばならぬ自覚に動かされないわけにはゆきません。