Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「ちょいと、お徳さん、来てごらんなさい、早く来てごらんなさいよ」

「どうしたの、お鶴さん」

「あれ、あそこをごらんなさい」

「まあ」

「ありゃ人間でしょうか、猿でしょうか」

「そりゃ人間さ」

「あの面をごらんなさい」

「おお怖い」

「でも、どこかに可愛いところもあるじゃありませんか」

「子供でしょうかね」

「なんだかお爺さんみたようなところもあるのね」

「あれはお前さん、こっちをじっと見ているよ、睨めてるんじゃないか」

「怖いね」

「怖かないよ、子供だよ」

小間使が二人寄り三人寄り、ほかの女中雇人まで追々集まって、米友の面を指していろいろの噂をしているのが米友の耳に入りました。

「やい、そこで何か言っているのは、俺らのことを言ってるのか」

米友はキビキビした声で叫びました。

「それごらん、おお怖い」

米友に一喝された女中たちは、怖気をふるって雨戸を締めきってしまいました。それがために米友も、張合いが抜けて喧嘩にもならずにしまったのは幸いでありました。

やや暫らくして櫓の上から下りて来た米友を、道庵は声高く呼びましたから、米友が行って見ると、道庵は例の通り手錠のままでつく然と坐っていましたが、米友に向って、暇ならば日本橋まで使に行って来てくれないかということでありました。