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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

兵馬はありそうなことだと思いつつ、どのみち神尾の身の上にも何か変事があるだろうと予期しながら、その晩は塩山の恵林寺へ帰って泊り、翌日、早朝に立って、また甲府へ帰って見ると昨夜――というよりは今暁に近い時、神尾主膳の邸が何者かによって焼き払われたということであります。兵馬はその委しきを知るべく、わざと僧形を避けて徽典館へ通う勤番の子弟に見えるような意匠を加えて、ひとり長禅寺を立ち出でました。

兵馬が何心なく通りかかったのは、例の折助どもを得意とする酒場の前であります。この夜もまた、恋の勝利者だの、賭博の勝利者だのが集まって、太平楽を並べている。兵馬がその前を通り過ぎた時分に、酒場の縄暖簾を分けて、ゲープという酒の息を吐きながら、くわえ楊子で出かけた男がありました。それは縞の着物を着て、縮緬の三尺帯かなにかを、ちょっと気取って尻のあたりへ締めて、兵馬の前を千鳥足で歩きながら鼻唄をうたい出しました。

それを後ろから兵馬が見ると、なんとなく見たことのあるような男だ、鼻唄の声までが聞いたことのあるように思われてならぬ。

「はッ、はッ、はッ、何が幸いになるものだかわからねえ、また何が間違えになるものだかわからねえ、人間万事塞翁が馬よ、馬には乗ってみろ、人には添ってみろだ」