Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
今となってみると、あの仕事を手放したのが惜しくてたまりません、ほんのひょっとした意地で、ただみたように、人に株を譲り渡したのがこっちの抜かりでございました、ナニ、金さえあればいつでも買い戻せると思ったのが、あんまりたかをくくり過ぎました」
お角が、もとの仕事に充分の自信と未練を持っての話を、主膳は首を捻りながら聞いていたが、
「強ってその資本が欲しいならば、ひとつその秘策を授けてやろうか」
「お心あたりがございますなら、ぜひ伺いたいものでございます」
「化物はいるか、あの化物は」
と言って主膳は、荒れた庭のあちらに、大きな土蔵の鉢巻のあたりの壊れたところを見上げました。この二人が、かなり下腹に毛のない連中と見えるのに、このほかに、まだこの屋敷に化物がいるのか知らん。
主膳は化物と言って、土蔵を見ながら、
「は、は、は」
と笑いました。
「いけません」
お角は自分の口を袖で押えながら、主膳を叱るように言いました。
「聞えやせぬよ、大丈夫」
「御前が左様なことをおっしゃるのは、お悪うございます」
「もう言わん。しかし、お前が言わせるように仕向けるから、つい口が辷ったのじゃ、悪い心持で言ったのではない」