Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「有難え……」

受笊をそっと動かすと、誂えたように銭はその中へザラリと落ちます。

「こちらの方でも御用とおっしゃる」

またバラリと投げる銭の音。それからひきつづいて、前後左右から面白がってバラリバラリと投げる銭を、一つところにいて、片手では梯子を押えながら、右に左に手をのばし、前や後ろへ身を反して、受笊一つへザラリザラリと受け入れて、その一銭をも土地の上へ落すことではありません。

「うめえもんだな、あれだけで一人前の芸当だ」

面白がって投げる見物と、面白がって米友の銭受けを見てやんやと言っている見物。そのうちに米友は、

「もういい、このくらいありゃあ、もうたくさんだから投げるのをよしてくれ……」

銭受けの笊を下に置いた米友は、片手で押えていた梯子の両側を、両の手で持ち換えて、

「エッ」

と気合をかけると、高さが一丈二尺あって、桟が十段ある梯子の頂上まで、一息に上ってしまいました。見物が、

「アッ」

と言っている間に、そのいちばん上の桟へ打跨って尻を下ろした米友は、巧みに調子を取りながら、眼を円くして見物を見下ろしました。

ここで後見がおれば、太夫さんのために面白おかしく芸当の前触れをして看客を嬉しがらせるだろうけれど、米友にはさっぱり後見が附いていません。