Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「もし、そのお方のお声に、どうやら、わたくしは聞覚えがあるようでございます」

「なんの、そなたたちの知った者ではない」

兵馬は、隠した方がよかろうという心持であったけれど、

「誰が、拙者の断わりなしにこんなところへ連れて来た、こんな暗いところへ誰が連れて来たのじゃ、さあ水を持て、水、誰もおらぬか」

兵馬は隠そうとしても、人心地のない主膳は、うわ言のように声高くこんなことを言い出しました。

女は立っていることができません。

「あの、そのお方のお声は……どうもわたくしは聞いたことのあるようなお声でございますが、もし間違いましたら、御免下さいまし、そのお方はあの、染井の殿様ではございませんか」

「染井……染井の化物屋敷、こんな陰気臭いところへ、誰が連れて帰った……」

主膳は切れ切れにこう言って唸りました。

「おお、そのお方は神尾の殿様」

「この人を神尾主膳殿と知っているそなたは?」

「まあ、神尾の殿様でございましたか、よいところでお目にかかりました。殿様をお迎えのためにわたくしは吉原へ飛んで参るところでございますよ、ここでお目にかかろうとは存じませんでした」

女は喜んで、兵馬の抱いている男を神尾主膳と認めてしまいました。