Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠5

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme

Aozora Bunko

「まあ、聞いてさえゾッとします、わたしはそんなことを聞きたくはありません、もっと面白い話をしましょうよ」

お松は力一杯に、お君を慰めようとします。

お君は何を考えたかハラハラと涙をおとしていたが、ふらふらと立ち上りました。

「お君さん、どこへいらっしゃるの」

「はい、わたしは、間の山へ」

その瞳の色が定まっておりませんから、お松は怖ろしいほど心配になって、

「まあ、お話がありますから、お坐りなさいませ」

強いてお君の袖を引いて引留めました。

それからお松は、お君のために心配のあまり、神田の和泉町の能勢様というのへ参詣をすることになりました。

和泉町の能勢様というのは、四千八百石の旗本で、そのお屋敷のうちにお稲荷様があって、そのお稲荷様から能勢の黒札というお札が出る。お札の表には正一位稲荷大明神と書いてあって、そのお札で撫でると、お医者さんでも癒らない病気が癒るとされてあるものです。ですから、気の変になった人や、狐につかれた人のために、能勢様へお札を貰いに行く者が黒山のようです。

そこでお松は能勢様へ行って、お君のために稲荷様のお札をいただいて、帰りに和泉橋のところへ出ると、笠をかぶって袈裟法衣に草鞋穿きの坊さんが杖をついて、さっさと歩んで来る。