Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠5
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠5 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.120 Zeichen · 516 Bildschirme
指の先へ触ったものを、なにげなく眼の前へ抓んで来て七兵衛は、
「おや」
物珍しそうに、それをじっと見込みました。
「先生、先生」
「何だ」
「や、こいつはいい物が手に入りましたぜ」
「いい物とは何だ」
「これでございます、こんないい物が手に入るというのは、天の助けでございますな、お喜び下さい」
「何のことだか、拙者にはわからん」
と言って山崎譲が、七兵衛の手に抓み上げたものを見ると、それは径一寸ばかりの真鍮の輪にとおした、五箇ほどの小さな合鍵でありました。
「おいおい、お爺さん」
七兵衛は山崎譲にその合鍵の輪を渡して、自分は甘酒屋の親爺を呼びました。
「はいはい」
「もうちっと先に、これこれのお客が、お前さんのところへ見えなかったかい。これこれではわかるまいが、ちょっと小いきな男で、片腕が一本無えんだ……身なりは、これこれ」
老爺は慌ててそれを引取って、
「ええ、ええ、間違いございません、確かにおいでになりました、たった今でございます、小一時ほど前のことでございます、ここで甘酒を召上りになって、角兵衛獅子に散財をしておやりなすった親分がそれなんでございます、その通りのお方でございました」