Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme

Aozora Bunko

地面を掘り、石でたたんだ、ぶきような手製の釜戸から、活き活きと火の舌が伸び、煙がゆるやかに、樹立のさし交わす枝葉の中へと、揺れながら昇ってゆく。

あたりはまだ昏かった。

灰いろの濃い霧が、森いったいを押し包んで、あるかなきかに動いていた。まわりには檜や椹や杉などの、ひと抱えもある樹ばかりで、どの幹も、霧のためにびっしょり濡れていた。下生えの灌木の若葉も、草の葉も、雨のあとのように濡れて、これらのしずくが、厚く散り敷いている、古い朽葉の上に、ときどき音をたててこぼれ落ちた。

霧に押し沈められた、冷たい山気のなかに、しめっぽく蘚苔が匂った。半之助は立てて坐った膝を、両手で抱えながら、なにを聞きいるともなく、うっとりと眼をほそめた。

彼の位置から、ほぼ十歩のところに、ごく細い渓流がある。細いけれども、水は豊かで、水蝕された岩の急傾斜を、さあさあと、快い音をたてて流れている。深い森の中なので、たいていな雨では、濁ることがない。濁っても、せいぜい二日もすれば、きれいに澄んだ。

梢のあたりで小鳥が鳴いた。彼は鳥の名などは、殆んど知らないが、いつも朝はやく、まっさきに鳴きだす鳥で、自分流に「めざまし鳥」