Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
にできたらとお思いになるでしょ」
花世は彼の顔をじっと見た。そして、彼がなんとも答えないうちに、さもせつなそうな溜息をついて、云った。
「けれども人間に羽根を付けることはできませんわ、どうしたって、……もしかして、乙女の命でそうすることができるのなら、いつでも命くらい代りに出しますわ、命じゃなく、手か足くらいだともっといいけれど、命だってちっとも怖かありませんわ」
「道はこういっていいんですか、どうやら下りになるようだが」
「でもどうしたってできませんわ」花世は構わずに続けた、「どんなことをしたって、乙女の命に代えたって、あなたに翼を付けてあげることはできない、あなたの望みをかなえてはあげられない、いつまでもあなたを不幸なままにしておかなければならない、……そう思うとあなたがお可哀そうで、自分が哀れで、悲しくって、辛くって、いくら泣いても涙が止りませんの」
下りになった道は、いつか林をぬけて、かなり急な登りになり、山の中腹をまわるところでは、法王連山の見えることもあった。しかし花世は登り続けた、法王山を見るには、見るべき場所がある、というのである。そしてお饒舌りはなおやむけしきがない、それはもう歌のようであった。