Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
「まあ聞きましょう」
「つまり、要約すると、殺生禁断さ」
そこで主馬は酒を飲んだ。
「あの禁令はむろん柳沢が出したものじゃない、しかし法令を持続させたのは彼だろう、たびたびの反柳沢運動にも拘らず、彼の地位がゆるがず、甲府城主となり、大老などと僣称されるようになったのは、ひとえにそのおかげさ」
「しかしあの狂気じみた禁令は、むしろ彼の首繩になっていると思うがね」
「その反対さ、まるで逆だったんだ」主馬は面白そうに笑った、「あの法令が行われる限り、庶民の一部と、役人の多くの部分が、ひじょうに儲かる」
「――ははあ」
「信じられないか、では訊くけれども、われわれは毎年、猪や兎の肉を喰べるし、鶏はもちろん、牛や豚の肉まで喰べた筈だ」
半之助はいやな顔をした。数年まえに、重兵衛の奔走で、一席設け、そこで騙されて、そうとは知らずに、豚の肉を喰べた。味噌煮であったが、そして、豚そのものは見たこともないけれど、あとでそう聞いて、ひどく胸の悪い思いをしたことがあった。
「われわれの祖父や、父たちの若いころには、こんなにたびたび、鳥獣の肉を喰べやしなかった、その季節に薬食といって、躯の弱い者が栄養をつける、という名目でたしなむ、という程度だった、そうじゃないか」