Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
こう云いながら、まだもがいている鳥を、庭下駄で蹴った。
「来てみろ、こいつは臭くて、持ってはゆけないぞ」
誰かそれに答えたが、半之助にはわからなかった。
「しかし、さすがに菱屋庄兵衛だな、喉首のまん中だ」
また答える声がした。こちらの男(五尺そこそこの、だが筋肉の発達した躯に、口の大きな、眉の太くて短い、眼のするどい顔つきであったが)は、ぶ遠慮に笑って、
「ばかを云え、次高のみじん流は見世物じゃない」
こう云って、もういちど、鳥を蹴ってから、来たほうへとたち去った。
主馬が戻って来るまで、半之助は、胸のどこかが痛むような、ふしぎな感情にとらわれていた。
弓で射られたのは、樹上の鷺である。それはまだ地面の上に、射抜かれたまま横たわっているのが、ついそこに見える。
けれども、半之助には、それがあの呼び声のぬしのように、思えてならない。若い、清らかな、女の声であったが、それが矢に射抜かれたとたんに、白鷺に化した。そんなふうに、思えるのであった。
――誰だかしれないが、可哀そうなことをするものだ。
まもなく主馬が戻って来た。
「悪いいたずらをするやつだ」
彼も見ていたのだろう。