Japanische Klassiker mit Furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lesen Sie 山彦乙女 (やまびこおとめ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 126.360 Zeichen · 251 Bildschirme
船頭も棹を斜に構えて、出て来たら殴りつけよう、といった態であった。
云うまでもないかもしれないが、これらは極めて短い時間のことで、初めに海へ落ちこんだ男たちは、ようやく、底を出した舟にとりついたばかりだった。そうして、まだその一人が、なかまのさし出す手に捉まろうとして、ばしゃばしゃと、だらしなくもがいているとき、第二の舟がみごとにひっくり返った。
立ったまま竿を振りまわしているのだから、その舟は初めからぐらついていた。そこを右へいちど、ぐいと引っぱられ、わっといって片寄るとたんに、前者の例と同様、逆のほうから突きあげられた。
三人の男は頭からのめり、その上へ舟がかぶさった。
ふしぎなことには、ともにいた船頭は、棹を持ったまま、舟の転覆する方向とは反対のがわへ唯一人、横さまに落ちこんだ。なにか目算があったのかもしれないが、ともかく、お素人衆とは違います、といったふうな、さすがに馴れたものだ、と思わせるような、個性のある落ちかたであった。
「うめえうめえ、あっぱれだ」
こちらの船頭は首をふり立てながら、げらげら笑い、喚きたてた。
「人を見て悪態をつかねえからそういうめにあうんだ、ざまあみやがれ」