Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
五
弓田警部は一わたり部屋の中を見回しましたが、何一つ取り乱されている様子はありません。一閑張の上に書物が二三冊きちんと積まれてあり、そのそばに十四金の小型のペンシルが一つおいてありました。一閑張の下には、ジアスターゼの瓶とカルモチンの瓶とが転がっていました。
「一閑張はさわらんようにしたまえ、あとから指紋をとる必要があるから」
こういいおいて、弓田警部は、母屋の方へ出てゆこうとしたが、ちょっと引きかえして、カルモチンの瓶を拾ってポケットの中へしまいました。
五
医師に与えられた気付け薬の利き目で、島田のおやじは正気にかえりました。彼は不思議そうに大きな眼をあいて、しばらく部屋の中をじろじろ見回していましたが、やがて、金庫が眼にとまると、矢庭にその方へ手をのばそうとしました。ところが両手はまだしばられたままなので、「あ痛いっ!」と叫んだまま、またがっくりその場にうつぶしに倒れてしまいました。
「おい、どうしたんだ? 泥棒にはいられたようだな、われわれは警察のものだ。溝川署から来たんだ。どうしてこんな目にあったのか話してみろ」
署長は敷島の袋をとり出して火をつけながらいいました。