Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
四
本署から来るまで何一つ手を触れちゃいかんよ」
こういいながら乙刑事はあたふたと戸外へ出てゆきました。
四
「金庫に指紋が残っているかどうか見てくれたまえ」と一人の男に命じながら検事は倒れている老人のそばに座りました。
「ずいぶん紙灰が散らかっているようですな、きっとこのおやじに怨みのある債務者が、手当たり次第に証文を焼いたもんでしょう」
「評判のよくない奴でしたからな。それくらいのことはあり兼ねませんね」
署長はこう答えながら、ふと老人の後手に縛られた手を見ると、何かかたく握りしめている様子です。
「何か右の手に握っているようじゃありませんか?」
「そうですな、ちょっと開けてみましょう……なかなか固くにぎりしめていますわい」
検事が、老人の人差指と中指とを、指先をつかんで無理にこじあけようとすると、今まで人事不省のままで眠っていた老人は、
「あ痛っ!……」
と叫んで、はげしく手を動かしました。よく見ると、親指から人差指の内側へかけて、ひどく火傷をしたものと見えて、痛そうに肉が腫れ上がっています。それでも彼はまだ手を開けようとはしません。
「おい、気がついたか? どうしたんだ?」