Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
七
と報告しました。
七
一同が、本署へ引き上げてきたときには、もう朝の九時でありました。
非常線には有力な嫌疑者はひっかからず、何しろ、被害者の記憶がぼんやりしているので、捜査の方針が少しもたたなかった。指紋の結果は、離れの一閑張からは左手の指紋ばかりしかあらわれなかったに反し、母屋の金庫に残っていた指紋には左右両手のものがあったので、母屋を襲った凶賊は、右手のない男ではないことだけはわかったが、府庁の鑑識課に保存されている指紋のうちには、それと同一のものは見つからないのだった。そこで、その指紋はただちに警察庁へ送られました。
九時半頃、署長が、思案にあぐんで昨夜からの疲れも出てきてどかりと署長室の椅子に腰をおろして一休みしようとしていたとき、受付の巡査が一通の速達郵便をもってきました。
署長は、ものうげに封を切って読みはじめました。非常に大急ぎで、しかも乗り物の中か何かで書いたものと見えて、手跡はひどく乱れていましたが、相当な達筆で次のように認めてありました。
昨夜は杉原警察署の留置室で一方ならぬ歓待を受け候上、結構なる自動車にて送られ只今自動車は四条通を疾走中に候。