Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
五
「明日の朝になると危険だというのは、どういう意味なのです?」と私はあわててたずねた。
「手帳がにせ物だとわかればあの男は僕がこの中にいることを知ってきっと夜の明けんうちに逃げ出すか、ここの守衛を起こすかして、手配りをするにきまっていますよ」
「では僕も一しょにつれて逃げて下さい。こんなところで見つかっては僕は弱りますから」私は明日の朝警官にひきたてられて動物園を出てゆく自分の姿を想像して額から脂汗がにじみ出た。
「あなたは罪にはなりますまいが、厳重な取り調べを受けるのはきまっています。僕のせいでそんなことになっちゃお気の毒だから、では一緒にお出でなさい。少し窮屈ですよ」
私は不思議な青年のあとについて熊笹の中を出た。そして宵のうちに私がはいっていた水路の中へ橋の少し下手のところから降りて行った。
五
ちょうどその時に入口の方で物音がきこえてきた。そして物音は刻々に大きくなってきた。
「やっぱり予想どおりだ。もう警官の手がまわりましたよ」
こう言いながら青年は足速に水路を下手の方へ下って行った。私も恐ろしさに身も世もあらぬ気持ちであとをついて行った。水路はところどころ隧道になっていたが中腰になればくぐり抜けることができた。