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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

三

それで私はひどく困った。ところが、うまい具合に、この難関だけはひとりでに解決して、みな子の方から、今日は伯母さんのところへ久しぶりで行ってきたいと言い出したのである。しかも、帰りは六時頃になるから夕飯のしたくが少しおくれるということを、さもさも言いにくそうにことわったのであった。

私は即座に卑劣極まる決心をした。よし、その間の時間を利用して、妻には一日中留守居をしていたように見せかけて、雪子にあってこよう。五時までに帰ることにすれば時間はたっぷりある!

三

私はタクシーで東京駅まで行き、乗車口で降りた。駅の構内を横切る間も、切符を買う間も、みな子にあいはせぬかと思って気が気でなかった。渋谷へ行ったみな子に東京駅であうはずがあるものかなどという理屈は、こういう異常時の人間の心理を知らぬものの屁理屈だ。私は改札口を走るようにして通りすぎる間も、薄暗いトンネルを抜ける間も、ずっとそれを心配しつづけた。そしてプラットホームへ上がると同時に、そこに立ったり腰をかけたりしている老若男女をほとんど一人々々しらべてみた。もっとも、それはほんの二三秒間か、せいぜい五秒位しかかからぬ間にであったけれど。