Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
五
そうして、実際私はそのとおりにしようとした。今になっていい加減なことを言うのでなく、これはほんとうなのだ。
ところが私がそうしようと思って椅子から起ち上がろうとした時、ちょうど扉を叩く者があったのである。すると雪子はばねに撥かれたように起ちあがって、ずかずか私の耳のところまでやってきて低声で私にこう言った。
「これから、貴方に一人お友達をご紹介しようと思うのです。このかたは、妾がアメリカで発見したお友達で、妾のように腐った女ではなくて、貴方と同じように、それはそれは純潔な心をもった方です。今日貴方にわざわざ来ていただいたのはこの方にあっていただくのが目的だったのです。いいでしょう」
彼女は私の返事もまたずに扉を開けに行った。もちろん私がひどく当惑していることなどには気がつかずに。
五
その時はいってきた女は、私がこれから百年生きのびているとしても決して忘れられなかっただろう。何と言っていいか一口に言えば、私が、世界のどこかにいるはずだと思って長年探していたような女だった。雪子よりももっとインテレクチュアルで、雪子よりももっとノーブルで、それでいて、心の中に大きな、素敵に大きな淋しさを抱いているといった風だ。