Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
四月二十日
そして妾の心が弛むことは、あの人の妾に対する興味がさめることなんだから。
四月二十日
ああ妾の生活は、まるで焦熱地獄だ。妾はどうしてこんなに苦しまなければならんのだろう。何を信じてよいのか、何を信じていけないのか、妾は全くわからなくなってしまった。また、あのオパール色の手紙が来たのだ。妾はまるで子供の玩具でもさわるように、軽い気持ちで、封を切ってみた。だが二三行読むと妾はもう平気ではいられなくなった。襟首にぞっと悪寒をおぼえたくらいだった。
ずいぶん罪な人ね。でもそのくらいなトリックで安心するなんて、奥さんもずい分あまい方ね。だけど貴方のなさったことはほんとうに賢明だったと言っていいわ。無益に人を苦しめるのは罪ですからね。最後のときまで犠牲者を安心させてあげるのは、せめて妾たちの義務だと思うわ。
妾こんなことを空想しているのよ。貴方と妾とがどうせ汽車か何か乗り物にのってどっかへ行くでしょう。もう東京へは二度とかえってこない決心でね。いずれそのことは奥さんにもわかるでしょう、一昼夜のうちには。その時分にはまだ妾たちは汽車に乗っているでしょう。どうせ行くとすれば遠いところでしょうから。