Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
、ほんの二三枚だけ、どうしても話の筋道を立てるに必要已むを得ない骨子だけは省くわけにゆかない。
昨日、私は、いつものように、かっきり四時半に役所から帰った。そして、机の上に二枚の葉書とともに一通の西洋封筒の親展書がのせてあるのを発見した。消印は横浜になっていたが宛名の筆跡にはちょっと心あたりがなかった。封を切ってみると、驚いたことには、四年前、突然アメリカへ行ったという噂を友人仲間にのこしたきりで行方不明になった浅田雪子からの便りであった。彼女は、行方不明になる前まで、私の恋人だったのだ。当時女学校を出て、赤坂のあるアメリカ婦人の経営している寄宿舎にいて音楽を習っていた雪子と、学校を出て、外務省の役人になったばかりの私との間にかわされた燃えるような恋、したがって、彼女が行方不明になった時の私の絶望、彼女の裏切りに対する憤りは、とても筆でかき表すことはできんし、よしできるとしても、今はそんなことをしている時間がないが、一度青春時代をもった人、および現にそれをもちつつある人には、ほぼ想像はできると思うから、想像だけで我慢しておいてもらいたい。一言で言えば、私の生活は完全に目的を失ってしまったのである。