Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
善良ではあるが、おしゃべりな婦長はしゃべってしまったあとで僕に向かって念を押した。僕は「もちろん誰にも話しゃしませんよ」と口では答えたが、心の中は、すばらしい特別記事の材料が手にはいったことの喜びで一ぱいだった。そもそも探訪記者に向かって、一たん口外した話を、新聞に出してくれるななんて頼むのは、飢えた狼に向かって命乞いをするよりももっと無駄なことなのだが、素人には悲しいかな、そんなことはわからないのだ。
* * *
とは言え、これだけではまだすぐに新聞記事にはならない。新聞記事にするためには、生きた証人が必要である。問題の赤ん坊の写真と、犠牲者の告白と、これだけそろえば、二十円の特別賞与は請けあいだと僕は考えていろいろ計画をめぐらしたものである。
婦長の口から、遠藤博士の犠牲になった夫人の住所姓名をきき出すことには大して骨は折れなかった。困難なのは、その夫人にあって、直接その口から「涙ながらの告白」という奴をさせる点だ。
僕は、ひそかに一計を案じて、翌日社の写真班の記者を一人つれて、夫人の玄関の呼鈴をおした。
名刺を通ずると、あんがい婦人はすぐに面会するということであった。