Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
軟らかい布団があって、その上に身体をぞん分に横たえることができるのだもの。立っているということ、しかし立ってじっとしているということがいかにつらいものであるかを、この時ほど痛感したことは私はない。
ところで私は世界中の人間の中で果たして一番くずなのだろうか? なぜ私一人がこんな境遇に陥ったのだろう? 少なくも私は教養においては専門学校を卒業している。徳行においても人並みはずれて悪いことをしたおぼえはない。それどころか、会社につとめている時分には、皆私のことをほめていたものだ。なるほど今日の社会制度は、すべての人に職を与えて、すべての人の生活を保障するようにはできていない。東京の町だけにでも十万も二十万もの失業者があることは知っている。だが、私自身が、えりにえってその失業者の群にはいらねばならぬ理由がどこにあるのだろう、しかも十万も二十万もの失業者のうちで、誰一人餓えて死んだという人のことを聞いたことがない。みんなどうにかして生きてはいるのだ。ところが私自身は、これからさき生きてゆけそうな望みは絶対にない。これは私自身のうちに、私には気のつかぬ致命的な欠陥があるのではなかろうか? たとえば、私の容貌に、私だけにはわからなくて、他の人には一目でわかるような忌まわしい記しがついているのではあるまいか? そういえ