Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
といって、探訪記者という職業がしょっちゅう面白くないことばかりあるのかというとそうでもない。ときどき胸のすうっとするような痛快なこともないではない。だが要するに、誰かも言ったように、人生には愉快なことと、不快なこととを差し引きすると、不快なことがずっと多いものだ。ことに探訪記者なんて職業をやっていると、人生の裏面ばかりをさがしまわっているせいか、世の中には不幸な人間や、不快な出来事ばかりしかないような気がする。そして、かくれている不幸な人間を明るみへ出し、人の気のつかない不快な出来事を世の中へ公表して、世の中をますます暗黒に、ますます不浄に、ますます堪え難いものにしているのが我々探訪記者だというような気がするのだ。
しかし今も言ったように、僕はこの職業をやめる気は毛頭ない。僕がやめれば他の誰かが後釜にすわって僕のやってきたことをやるだけのことで、僕が辞職するということはただ僕が路頭に迷うようになるという以外に、社会には何の利益にもならぬことを知っているからだ。
こんな用もない前おきでも言っておかないと、気がさして、職業上の経験を口にしたり筆にしたりすることができないほど、僕はお人よしだという所をせめて買って貰いたいものだと思う。