Japanische Klassiker mit Furigana
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あるたんぼうきしゃのはなし
平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕
平林 初之輔
Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme
部長はもちろん、非常に満足して大声で笑いながら言ったものである。「探訪記者には君、同情という言葉は禁物なんだよ。いや有り難う。明日の夕刊は一万増刷しても大丈夫だ」
無論この記事は翌日の新聞に出たのである。
この事件で一番皮肉なのは、僕がその翌日二十円の特別賞与を、恭々しく社長から編集局長の手を通して渡されたことである。無論その時は、僕は、もう良心の呵責も何も感じはしなかった。繰り返していうが、新聞記者にとっては物を忘れるということが重要なメリットなんだから、次々に起こる事件を次々に忘れてゆくことによって神経を鍛えてゆかなくちゃ、ああいう仕事はできないからね。
だがそれだけでおわったのならこの事件も、ただの喜劇としてすんだのだが、まだ、この事件の最も悲劇的な部分があとにのこっていたのだ。それは、僕にこの話をしてくれた二人の女のうちで、一人はその新聞記事の出た翌日、とつぜん病院を解雇されたことだ。むろん、僕に色々なことをしゃべったのが原因である。それからいま一人は――ああさすがにこれを筆にするのは、今でも手がふるえる――僕の書いた記事がもとで、その翌日の夕刊に「××夫人の自殺」