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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるたんぼうきしゃのはなし

平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕

平林 初之輔

Lesen Sie 平林初之輔探偵小説選I〔論創ミステリ叢書1〕 (あるたんぼうきしゃのはなし) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.247 Zeichen · 229 Bildschirme

Aozora Bunko

四月十四日

どんな書物を読むよりもためになるわ。そして、貴方が妾を愛していて下さることはよくわかるわ。妾だって貴方を愛せるかも知れないわ。そして現に愛しているかも知れないのよ。貴方は奥さんやお子供さんのあることを恥じていらっしゃるのね。ちゃんと妾にはわかるのよ。そしてあなたの心の動きを非常に興味をもって見ているわ。でも仕方がないじゃありませんか、そんなこと。貴方の頭でどんなに考えたって解けっこのない問題ですもの。妾ならもう何も考えないことにするわ。そして妾自身何も考えていやしないわ。妾には考えたって苦しんだって貴方の影響を脱する力はないんですもの。妾は貴方の百倍も貴方を愛しているんですもの。

四月十一日

貴方のTより

妾のN様

妾はもう少しで、絨氈の上へよろめいて倒れるところだった。まだ昨日の手紙だ。そして封筒の上書には、ちゃんと「小石川区水道端一丁目十二番地、並木五郎様」と書いてある。でも妾には信じられない。これは、何か途方もない間違いだと思っている。だが、しかし……

四月十四日

妾は、今日からあの人の一挙一動に非常な注意をしはじめた。だがあの人にはどこといって一つ不審な挙動はない。