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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

――自分とお蕗どのとは、親のゆるした仲であると。

そういう過去のあるなしにかかわらず、恋していたことは事実だった。

そのお蕗と母の雪乃が、得体の知れないくせ者に待たれて、一時に影をかくしたのである。かれの愕きは思いやられる。

老公は、さき程、甚だしく怒られて、いかに変事とはいえ、無断で駈けつけていったのは、進退を弁えぬもの――事にあたって落着きなきものであると――つねにない不機嫌をあらわされたが、これは無理というものであろう。かれとお蕗どののあいだを、ご存知ないからである。

「……もし自分が悦之進の身であったら、やはり前後もなく駈け出していたにちがいない」

文八は、心からかれに、同情しながら、寝もやらず、もし裏門でもほとほと叩く音がしたら、すぐ起きて行こうときき耳をたてていた。

――が、悦之進は帰って来ない。

べつな不安が文八のむねにこみあげて来た。あるいは、くせ者を追撃して、どこかの山林で、追いついたはよいが、かえって大勢の相手のために、返り討ちになったのではあるまいかなどと。

実際、得体の知れない敵である。この敵の正体、おそらく誰にもわかっていないのではあるまいか。