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Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

八

これなら枯れっこはない」

勘太は、ここへ来ると、きっと二本の低い木の下へ来て、見まわった。

紅梅の木と、松とであった。それはもと、誰が植えたものか、畠のなかの饅頭塚のうえにあったのを、ことしの梅雨の頃、仕事に着手するとともに、この寺内へ移植したものであった。

八

佐々介三郎は、尺八をよくふいた。

べつに名人の上手のというわけでもないが、素人よりはよく吹いた。

その晩も。

蕎麦切と新酒で職人たちが腹にも酔にも満足してしまうと、

「旦那、また、尺八を聞かせておくんなさい」

と、せがみたて、

「おい、お坊さん、旦那の部屋へ行って尺八を取って来てくれよ。たのむから」

と、わあわあいう。

介三郎は、この寺の一室を間借していた。夜になっても、何の刺戟とてない、この辺なので、一管の尺八は、すばらしい感興を人に喚ぶ。

「そうじゃ、持ってこよう」

聞きたいのは、職人たちばかりではない。僧たちも、共々に強いる。

「吹くよ。吹くから待て」

むりに、手へ尺八を持たせられて、介三郎は、くすぐられたように体をまるくした。四十をこえていても、酔うと子どものように、他愛なく笑うひとだった。