Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
九
「生れはどこか。そちの郷里は」
「さ……その、東国のほうで」
勘太は、ひどくまごついて、後悔のいろすら見せた。
「おかしな奴だな」
一笑を放って、介三郎は身を起すと、突然、縁がわのほうへ立った。開け放した角の黒い柱に背をもたせかけ、しばし竹の歌口をしめしたり、唇を離して、瞑目したりしていた。
「みんな、寝ころんで聞いていいぞ。おれは、虚空が聞き手で、おまえたちが聞き人とは、思っていないんだから。――おまえたちは草の根にいる虫だと思っている」
「へえ……じゃあわし達は、耳はふし穴で、身はおけらですか」
「あははは。そんなに卑下せんでもいい。おれが吹きはじめようとすると、おまえたちが共に、硬くなって、息ぐるしそうに、突っぱっておるから、気楽にさせてやろうと思って申したことだ。……竹の音と一しょに、たましいを宇宙に遊ばせるつもりで聞け。よいか、気楽に」
と、尺八に眼をふさいだ。
九
夜の蛙みたいに、いつのまにかみな考えているような恰好していた。膝のあいだに顔を埋めているのもあるし、背をまろくして横向きになったままでいるのもある。
「……虚空という曲だよ」
そう教えてから介三郎は一管をふき鳴らしたのである。