Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

十五

「どうしたい、懸合いは」

「つきましたさ」

「ついたか」

「さっそく、蓆掛けですが」

「小屋はできているんだから造作あねえ」

「でもいろいろと、持込ませなくっちゃなりますまい」

「あさってからのことだ。あしたでいい。そうきまったら、そこらへ飲みに行こう」

「また、ですか」

「何をいう。悪くもねえくせに。はははは」

ぞろぞろと、街道のほうへ出て行った。

眼を三角にして、青すじを立てていた石権は、見送っているうちに、口惜し涙というのであろう、ぼろぼろと、こぼれるのを、あわてて横腕でこすると、

「だ、旦那っ。虫をころすのも、いいかげんにしておくんなさい」

と、いきなり介三郎の肩を突いて、喰ってかかった。

十五

ついに親方の石権が、堪忍ぶくろを破ったと知ると、職人たちも一斉に戦ぎ立って、

「やろうっ」

「やっちまえ、やっちまえ」

「こうなれやあ、血の雨でも、槍の雨でも持って来いだ」

「佐々の旦那あ、見ていておくんなさい。しっ腰のない主持ちのおさむらいなんぞにゃあ、どうせ喧嘩はできまい」

そこらの角丸太、金づち、切れ物などを、手当り次第に持つと、あわや一かたまりの旋風になって、あとを追いかけようとした。