Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme

Aozora Bunko

倉皇と出て来たのは、老舗の主らしく、

「いらっしゃいませ。どうも失礼をいたしました。店の者をつい近所まで使いに出しましたので。……何をさしあげますか」

大きな塗りのかさね箱の蔭で、手をふき、たすきを外して、それへ坐って出たが、ふと仰ぐと、むさぐるしいお菰が傲然と立ちはだかっているので、

「おまえさんかえ。いま呶鳴んなすったのは」

「おれだよ」

お菰は、おれだが、それがどうしたんだ――といわぬばかり、しばらく無遠慮に主の顔を見下ろしてから、

「菓子をくんな。上菓子を。もらいに来たんじゃねえ、買いに来たんだ。この通り金はある」

と、片方のたもとへ、手を落して、銭の音をさせた。

主は坐り直して、

「売らないよ」

膠なくいった。

「なんだと」

「売らないってことさ」

「ここは商家じゃないのか。客にむかって、そのあいさつは何だ。菓子舗とかんばんをあげておいて、菓子を売らねえという法があるか」

「ある」

「おれをお菰と見くびっていやがるな。金がねえんじゃねえぞ。客に分けへだてをつけるのか、てめえは」

「つける」

「もう承知はできねえ」

お菰は店のまん中へ、片あぐらに腰をすえこんで、かぶり物のきたない手拭をとった。