Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
「そうだ、時をたがえてはなるまい。すぐ藤井紋太夫の邸へまわる手筈になっておる。――ご免」
駕について来た人々は、ふた手にわかれた。一方は飛ぶがごとく元の道へ、また、海野三右衛門、剣持与平、鹿野文八の三人だけは、べつな道へ急いで行った。
江戸川の片側町から横へ曲がる。高台へ拠ってかなり大きな構えである。藤井紋太夫のやしきはそこだった。
そこの表門へ向って、四、五軒ほどてまえの屋敷塀の角まで来ると、
「待てっ」
と、横からとび出して、両手をひろげた男がある。
何者かと、遮られた三名が、ひとしく飛び退いて、ひとみを凝らすと、それはいつかの汁講の晩、満座のなかで、泣いて饅頭を喰べていた男――あの勘太であった。
「やあ勘太、そちもここへ、何かしに来ているのか」
剣持与平は、かれの物々しい足ごしらえや、道中差を落したすがたを見て、不審にたえないような顔をした。
十二
勘太は、剣持与平らの不審にこたえていう。
水戸表でもこんどの老公の出府に不審をいだく者がすくなくない。
ある者は、
(きっと、大事件が起る)
と、風説し、また一部では、
(こんどのご出府こそ、老公がさいごのものとなるであろう)