Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
「大事な役目だ。ぬかりなく頼むぞ」
「承知しました。……では、旦那がたも」
「ムム、暫時」
と、剣持与平と海野三右衛門のふたりも、勘太をのこして、土塀のみねをこえ、邸の内へすがたを隠した。
白昼、どうしてそんな行動をとるのか、内部でどんなことが行われているのか、彼自身正直にいっているとおり、勘太には皆目わけが分らなかった。
ただ、うっすらと、察しのつくことは、ここが藤井紋太夫のやしきである点から推して、いよいよ最後の断が、悪人の元兇に下されて来たにちがいないということだった。そして、その正義の使に、たとえ見張の役でもいいつけられているという生きがいを――大袈裟ではあるが彼にとっては――初めて正義の陣営に組した自己を見出して、正直に、武者ぶるいほどな歓びを、ひそかに感じて立っているのだった。
一方。
邸内に飛び降りた剣持与平は、すぐ表門の小屋をのぞいてみた。門番一名と、中間ふたりがうしろ手に、縛りつけられている。
「…………」
与平たちの姿を見ると、かれらは大きな恐怖の眼をして、たちまち顔を土気色にした。すぐそこを立ち去って、裏門のほうへ廻ってみる。――途中、ふた棟ある土蔵路地のそばに、紋太夫の家臣であろう、刀をにぎったまま斬り伏せられている死骸があった。