Japanische Klassiker mit Furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lesen Sie 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 209.260 Zeichen · 418 Bildschirme
「これは、異な仰せを」
と、五郎八という若侍は、変てこに威儀づくろって、
「なぜ、不忠不孝でござるか」
「おまえの泣くという意味は、涙をこぼすということか、痛心するということか」
「もとより、女みたいに、ぺそぺそすることではありません」
「では、大村五郎八は、親にたいしては、親が死なねば痛心せず、国にたいしては、泣く時しか、心をいためぬということになるの」
すると、五郎八のうしろから、
「退っこんでおれ」
と、ほかの者が、押しのけて、代りに老公のまえに坐った。
「拙者は、小西景助で」
「景助か。どうじゃ、まだ酔うには早かろう」
「まだまだ、酔うまでには、至っておりません。おながれを」
「そちも泣き上戸ではあるまいな。……おやおや、五郎八がまだそこに手をついて泣いておる。なにが悲しいのか聞いてやれ」
「てまえが、代りに申しあげましょう」
「ほ。泣き上戸の気もちが、代弁できるほど分っておるのか」
「この一堂におる者の精神は、みな一つです。――老公、あなた様は、なんで副将軍のお職をお退きになりましたか。なぜ、あくまで闘って下さらなかったんですか」
恐い眼をして、小西景助は、老公をにらみつけた。