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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「佐平治! 佐平治! コレ、そこにだれかおらぬか?」

と、手をたたいてふすまごしに、雷のような声をだしました。

「ハ!」

と、へだてのふすまがあいて、若党がしきいぎわに手をついております。

「およびでいられましょうか?」

「そこにいたら、なぜ、返事をせぬ? うかつものめが!」

と、えんりょえしゃくもなく癇声は、その佐平治とよばれた若党のうえに落下します。

「おおかた、主人がいねむりでもしていると心得て、貴様までがそこでいねむりしていたことであろう。不届千万な!」

「おそれいります!」

「ただおそれいっておったのではわからん! 竜胆寺どのはまだおみえにならぬのか? 竜胆寺の小金吾どのは?」

かみつくような声でした。

「ハ! まだおみえになりませぬようで……」

「たわけものめ!」

と、ふたたび雷が頭の上でなりわたりました。

「ヌケヌケと昼寝なんぞしおって、おみえになったかならぬか、どうして貴様にわかる! 横着者め! はようといっておむかえしてこんか! たわけものめが!」

「ハ! では、た……ただいま、……ただいまよりおむかえにいってさんじまする」

左近将監は、もう返事もせずに平伏した若党のほうへ背をむけたまま、かんしゃく筋をピクピクと、そのいかつい顔のこめかみのあたりにうかべながら、じっと盤面の石をにらんでいます。