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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

しかし相手は生のある人間ではなく、いつ現れて来るかがわからず、しかも現れたにしても私の眼にはそれが見えずに、ただ周囲の人々に映るだけでは、私に何の捉えどころもない。私は頭を掻きってそこにのたうちながら、

「幽霊出て来い! 待っててやるからさっさと姿を現して来い!」

と見えぬ亡霊に向って戦いを挑み掛けたいほどの言い知れぬ兇暴な気持に襲われてきたのであった。そしてがっくりと疲れを覚えて喘ぐようにじっとちゃぶ台に靠れていた。

「どうした? だいぶ顔色がよくないようだが」

と兄が言葉を切った。思いなしか私には兄の面もどことなく勝れぬような、何か陰鬱な空気がここにも満ち充ちているような気がした。

「君子も亡ったのに、あんな淋しいところにいつまでも独りでいて、またお前までもつまらん病気にかかっては困ると思ってな。心配をしていたのだが、人が帰れと言う時にはなかなか戻って来んで思い立つとまた慌しい帰り方をして来たものだな」

私は兄の顔を眺めていたが、もう我慢にも、この上兄とこんな下らぬ会話を交えているには堪えられなくなってきた。

「兄さん……話の腰を折ってすまんと思うけれど」