Japanische Klassiker mit Furigana
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
Lesen Sie 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 120.107 Zeichen · 241 Bildschirme
同日
しかし、版画というものは本物よりもどれも少しずつ良いものだ。鰯の缶詰が生きた鰯より時には味あるごとし。
同日
午後五時ミラノ着。――予約しておいたホテル・レジナの切符の期間が切れているので、満員のため追い出され、ホテル・マルノへ移される。しかし、立つときには、金を払いにこちらへ来いと云う。
山紫水明のミラノと云う。然しここには、水もなければ山もないおまけに樹木もない。
パリーを出てから、旅行について私は一つの見識を持つようになった。それは、新しい街へ着くと同時に、荷物をホテルへ預け、何はともあれその街の公園まで歩くことだ。そこで暫く休むのである。そうすると、旅行の失望は無くなって来る。
パルムの僧院に出て来そうな古城がある。水の枯れた堀を廻らせ、城壁高く、中には王公か囚人がいたにちがいないと想像させる煉瓦の城――私は沢山の城を見て来たが、このミラノ城は、最もおとぎ話の城に似ていて立派である。私は堀の鉄柵に身をよせかけ、高い城壁を見上げながら、疲労も忘れてしばらく夢想に耽った。鐘一つ鳴れば祖帰り、二つ鳴れば、無二に帰り、無三に帰る。――ロンドン塔のあの名描写は、少年の私には難解であったが、今は何となく馬鹿らしい。